この記事のポイント
- 所有期間の「5年」は、売った日ではなく、売った年の1月1日時点で数える
- 3,000万円の特別控除は、住まなくなってから3年目の年末までに売るなどの条件がある
- 特例を使って税金が0円になっても、確定申告が必要
- 3,000万円控除を使うと、新居で住宅ローン控除を受けられないことがある
家を売って利益(譲渡所得)が出ると、税金がかかります。 ただし、自分が住んでいた家を売る場合は、条件を満たせば税金を大きく減らせる特例があります。 逆にいうと、条件を知らずに売る時期や方法を決めると、払わなくてよかった税金を払うことになりかねません。 この記事では、国税庁の情報をもとに、見落としやすいポイントを整理します。
まず知っておきたい:利益の計算のしかた
税金がかかるのは、売った金額そのものではなく、利益の部分です。 利益(譲渡所得)は、おおまかに次のように計算します。
譲渡所得の考え方
売った金額 −(買ったときの金額などの取得費 + 売るためにかかった費用)− 特別控除
買ったときの金額が分からない場合、国税庁によると、売った金額の5%を取得費にできます。 ただし、実際の取得費よりかなり少なくなることが多く、そのぶん利益が大きく計算されます。 昔の売買契約書や領収書が残っていないか、売る前に探しておきましょう。
落とし穴1:所有期間の「5年」は1月1日で数える
土地・建物を売ったときの税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで大きく変わります。
| 区分 | 所有期間 | 税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年を超える | 所得税15%・住民税5% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 所得税30%・住民税9% |
このほかに、所得税の2.1%の復興特別所得税がかかります(2013年〜2047年分)。
注意したいのは、所有期間を売った日ではなく、売った年の1月1日時点で数えることです。 たとえば、買ってからちょうど5年が過ぎた日に売っても、その年の1月1日時点で5年を超えていなければ、短期譲渡所得になります。 売る時期を少しずらすだけで税率が変わる場合があるので、買った日付を確認しておきましょう。
落とし穴2:3,000万円控除には「売る期限」がある
自分が住んでいる家を売ったときは、条件を満たせば、利益から最高3,000万円を差し引ける特例があります。 多くの人にとって、この特例を使えるかどうかで税金が大きく変わります。主な条件は次のとおりです。
- 住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 親子や夫婦など、特別な関係がある人に売るのではないこと
- 売った年の前年・前々年に、この特例や買い換えの特例などを使っていないこと
- この特例を受けるためだけに住んだ家や、別荘などではないこと
特に気をつけたいのが期限です。先に新居へ引越して、前の家がなかなか売れないまま時間がたつと、特例が使えなくなることがあります。 住み替えるときは、売り出す時期も含めて計画しましょう。
また、所有期間が10年を超えるマイホームなら、税率が下がる「軽減税率の特例」もあり、3,000万円控除と重ねて使えます。
落とし穴3:税金が0円でも確定申告が必要
3,000万円控除を使った結果、税金が0円になる場合でも、特例を受けるには確定申告が必要です。 「税金がかからないから申告しなくていい」と思い込むと、特例が受けられなくなるので注意しましょう。 売った年の翌年に、所定の書類をつけて申告します。
落とし穴4:住宅ローン控除と同時に使えないことがある
住み替えで新しい家を買って住宅ローンを組む場合、新居で住宅ローン控除を使いたい人も多いはずです。 ところが国税庁によると、新居に住み始めた年とその前2年、または住み始めてから3年目までの年に、前の家の売却で3,000万円控除などを使っていると、新居で住宅ローン控除を受けられません。
どちらを使うほうが得かは、売却の利益の大きさや、ローンの額によって変わります。 住み替えのときは、売る前に税務署や税理士に相談すると安心です。
相続した実家を売るなら「空き家の特例」も確認
親が一人で住んでいた家を相続して売る場合は、条件を満たせば、利益から最高3,000万円を差し引ける特例があります(相続人が3人以上の場合は2,000万円まで)。 主な条件は、昭和56年5月31日以前に建てられた家であること、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、売却代金が1億円以下であることなどです。 この特例は、2027年12月31日までに売った場合が対象です。
親の家について早めに考えておきたいことは、親が認知症になると実家を売れない?でまとめています。
売る前にやっておきたいこと
- 買ったときの売買契約書や領収書を探す(取得費の計算に使う)
- 所有期間が、売る年の1月1日時点で5年・10年を超えるか確認する
- 住まなくなった日から、3,000万円控除の期限を確認する
- 新居で住宅ローン控除を使う予定があるなら、どちらが得か相談する
よくある質問
Q家を売って利益が出なかったら、確定申告は必要ですか?
A譲渡所得が出ない場合は、原則として申告は不要です。ただし、3,000万円の特別控除などの特例を使う場合は、税金が0円になっても確定申告が必要です。
Q昔に買った家で、買ったときの金額が分かりません。
A国税庁によると、取得費が分からない場合は、売った金額の5%を取得費にできます。ただし利益が大きく出やすくなるので、売買契約書や領収書などの資料が残っていないか、先に探しましょう。
Q所有期間が5年を超えているかは、どうやって確かめればいいですか?
A国税庁によると、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかで判定します。売る日によっては、売る年を1年ずらすだけで長期譲渡所得になる場合があります。
参考にした公式情報
記事の内容は更新日時点の一般的な情報です。税金や手続きの条件は、個別の事情や時期によって変わります。 最新の内容は国税庁・自治体などの公的機関や、各サービスの公式サイトでご確認ください。税金の判断に迷うときは、税務署や税理士に相談しましょう。
